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非居住者判定の裁決事例をフォローアップしてみた

 日本の税法における非居住者判定に関して、去年出た所得税での事案が専門誌に寄稿されているのをみつけて日本から取り寄せてみた。

日本の非居住者である私たち、基本的には日本株からの配当以外には日本への納税義務はないのだけれど、富裕層の海外逃亡に当局の目が厳しい折、いつの間にかビックリするような法改正がされていて気づいたら脱税犯…とならないように注意しておかないと。

結論としては、特に新しい点はなく武富士や中央出版の事件と変わらず非居住者判定は総合判断。

気になっていたのは、今回の裁決が所得税の事案であること。(武富士、中央出版は贈与税)

そして、当該個人がPT(パーマネントトラベラー)っぽく、複数国を転々としていること。
どうやらこの方4か国以上の国々で暮らしているらしく、一番長く滞在しているのが約3か月の日本らしい。

今は間違いなくマレーシアの居住者である私も、遠い将来つぶちんの幸せな一生をお看送りしたら多分季節のいい時を選んで複数国を転々とする可能性が高い。
仮に3か国に4か月ずつ暮らしでもしたら国の選択によってはどこの国でも居住者に該当しないことも理論的にはありうる。
そこで仮に日本が「国籍が日本のPTの場合は、うちの居住者とみなすってことで納税ヨロシク」…なんて改正でもしたら1日も住まなくても日本に納税義務発生するもんねー(笑)

そこで、なぜこの方が年に3か月しか滞在していない日本で所得税法上の居住者とされたのか、何か重要なポイントがあるかとビビったんだけど、新しい論点はなかった。

3か月しかいないたって、この方。
生計を一にする妻が日本の居住者だとか、
日本にある法人の代表者で経営関与の実態があるとか、
日本に一番多くの資産を保有しているとか、
住民票を置いて健康保険に入っているとかetc.

もうそれだけ重ねたら、全部アカンやつやん(笑)
てか生計を一にする妻が完全に居住者で、自分も住民票置いてる時点で、「非居住者」と主張するのは既にムリやろw

という事で、自分に影響のある論点はなしということで落着。

引き続き、マレーシアで多額の納税しますわ。主にお酒の関税ですけど(笑)



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by omoutsubo-bar | 2017-10-24 15:58 | 運用とか金融 | Trackback | Comments(2)
Commented by Shun Ishizaka at 2017-12-30 03:34 x
miu様、非居住者の所得税事案、大変勉強になりました。ありがとうございます。私もマレーシア在住です。

「奥さんが居住者で、住民票を置いて健康保険に入って」いて、非居住者を主張したのですか。これは日本からの収入が少なければ、とても安く日本の国保に入れると思われるのでいいとこ取りを狙ったのでしょうが、住民票を置いていたのに、争うとは個人的には「なかなかいい度胸ですね」と思います。顧問税理士がそれで大丈夫だとでも言ったのでしょうかね。

興味ある事案だったので少し検索してみましたが、ご案内の「去年出た所得税での事案が専門誌に寄稿」がわかりませんでした。大変お手数で恐縮ですが、専門誌名をご教授いただければたいへんありがたいです。よろしくお願いいたします。
Commented by omoutsubo-bar at 2017-12-30 09:48
Shun Ishizaka様
コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、私も随分筋の悪い案件だと思います。
勝手な想像ですが、この方は企業経営者のようですので、法人の顧問税理士に多少相談しただけで都合よく解釈して「良いとこ取り」を狙ったのかもしれません。
分かっている税理士が助言しているなら、「実質・形式(住民票)ともに、生計を一にする家族全員の海外転居」「法人の役員の退任」は必須の条件ですので。

オリジナルの寄稿はぎょうせい社発行の「月刊 税理2017年9月号」ですが、この専門誌は年間購読しか取り扱っていません。
詳しくはShun Ishizaka様のブログ宛に私信申し上げますね。



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